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故郷への想いは人を輝かせ、その志を叶える

株式会社北国からの贈り物
代表取締役&CEO
加藤 敏明 / KATO TOSHIAKI

インタビュー、編集 馬庭優歩

北海道の素晴らしい自然を一人でも多くの人に伝えたい。

1965年北海道に生まれ、中学卒業まで弟子屈町で育った。「緑豊かな大自然の中でのびのびと両親に育てられた。何の拘束もなく朝から晩まで自然の中で遊んだ。こんな大自然の中で自分の好きなことをさせてくれた両親に本当に感謝している」と優しいながらも目で訴える表情が印象的だ。

今の健康な自分が存在するのは北海道の自然や美味しい海の幸・山の幸があったからだと言う。北海道の恵みに対して何か恩返しがしたい。そう考えた加藤は北海道の素晴らしい自然を沢山の人に伝えるために数多くの経験を積んでいく。あるのはこの北海道への思いだけ。

北海道2

自分は建築家 現代のガウディになりたい

大学入学と同時に上京した。高校時代から建築家になって都市計画や町おこしをしたいと考えていたので、大学では建築家になるための勉学に励んだ。なぜ建築家になって単体の建物を作るのではなく都市計画がしたかったのか。加藤はこう話す。「自然の中にどのように建物を建てて、そこにどのように人が集まるのか、そういう生態系の様なものに興味があってね。そういった仕事が出来るのは都市計画だと思った。」まさに、加藤の地元である北海道弟子屈町を思い起こす言葉だ。

そして大学2年生の時に大きく人生を変える経験をした。ドイツにあるフランクフルト工芸博物館を見たいと思って、三か月間のヨーロッパ放浪の旅に出た。そこで見た美術館や教会、イタリアやフランスなど、ヨーロッパの古い街並に感動した。中でもスペインにあるサクラダ・ファミリア大聖堂には胸打たれた。この建物はアントニ・ガウディの残したスケッチだけを頼りに多くの人が集まり、今なお完成に向け工事が行われている。ガウディの思いにこんなにも多くの人が集まっている。そんな光景を目の当たりにした加藤はこう思った。

自分の北海道への思いを後世まで残したい。自分の思いに人が集まって北海道を元気にし続けたい。サクラダ・ファミリア聖堂の様なものを自分が北海道の地で作っていきたい。

サクラダ・ファミリア大聖堂(スペイン)

サクラダ・ファミリア大聖堂(スペイン)

“スタート”と“ゴール”の志は同じ

大学卒業後、都市計画や公共事業をしている設計事務所で約10年間働いた。その間にも地元北海道の川湯温泉がさびれていくのを毎年感じていた。昔は賑わっていた町が観光客も減り、ホテルや旅館も次々と廃業していくのが目に見えて分かった。加藤はその状況を打破すべく町の環境協会や庁の関係者に建築家としての知識を元に景観保全についての提案をした。

しかし地元にいないこともあり、その提案は全く受け入れてもらえなかった。このまま地元を離れて仕事をしていても北海道を現実的に変えることは出来ないと考えた加藤は、起業家になってまずはこの町を元気にする為の会社を作ろうと考えた。そしてその利益を町おこしや北海道を元気にするために使おうと考えた。加藤は、宣言通り起業家となって自身の会社を築いた。今は、北海道の恵みを地元の方々だけでなく、全国そして世界中に届けている。

加藤はこう言う。「スタートの志とゴールは、共に北海道を元気にする。同じことなんだ。」加藤の言動の源はいつも、“北海道を元気にする”ということなのだ。

先代会長の故加藤末三郎と加藤敏明

インタビュワーの目線

起業して失敗するリスクよりも北海道への愛が勝り、北海道の魅力を多くの人に知ってもらうために精進し続ける加藤さん。そして北海道を活性化させるため、起業家として新たなスタートを切った加藤さん。その思いは、たくさんの人の「ありがとう」を生み出しています。

私は、何かを思い続けて行動することは大変なことだと思っていました。

彼は、自分の地元の街を元気にしたいと思いながらも自分が地元にいないという理由で提案を聞いてもらえず、なかなか北海道への恩返しができませんでした。しかし、彼はそこで諦めなかったのです。

諦めずに新たな切り口(会社経営)を築いた加藤さん。自分の勤めていた会社を辞めて、この行動に移った思いは並大抵のものではないことが伺えます。その原動力には、北海道への愛がやはりありました。そんな彼の言動が、私の何かを思い続けて行動することへのマイナスな考えを払拭してくださいました。

加藤さんの北海道を思う気持ちは、きっと幾多の困難をも乗り越えられるくらいに偉大なもの。自分の大切なものを思う気持ちが、彼自身を奮い立たせ、今の現状に繋がったのだと感じました。

私も、自分の大切なものを誰よりも愛して行動できる人になることを目指します。

インタビュー、編集 馬庭優歩

プロフィール

株式会社北国からの贈り物
代表取締役&CEO
加藤 敏明 / KATO TOSHIAKI

1965年北海道厚岸生まれ。

1988年東京都立大学工学部建築工学科卒業。1990年同大学大学院修士課程修了。同年、TAK建築・都市計画研究所に勤務。一級建築士として美術館や劇場など公共施設の設計を手がける。

水家業の蟹卸売業「加藤水産」のネット部門として、1998年に「北国からの贈り物」を立ち上げる。メールマガジン会員35万人、購入者のリピート率50%越えを達成し、楽天市場、ヤフーショッピングにて各賞を連続受賞。また全経済産業省推進事業IT経営百選「奨励賞企業」受賞。 2010年にシンガポールに会社を設立し北海道産品の海外輸出事業をスタート。

2013年には40か国約8000名のメンバーによって構成されるEO(Entrepreneurs’ Organization)の2013年2月のアジア経営者会議ABC(Asia Bridge Campus)を北海道に誘致。2018年より海外の日本人起業家ネットワーク「一般社団法人WAOJE Tokyo」(ワオージェ: World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs)の理事を務める。北海道の魅力をアジアへと届けるため、海外輸出事業を拡大するとともに鮨と蟹料理がメインの蟹鮨加藤を展開。

現在は、和食グルメプロデューサーとして和食文化を世界に発信中。得意領域は北海道グルメ。趣味は海外旅行・グルメツアー・美術館巡りと芸術鑑賞。

著書
『Eコマース成功の条件』
『TOP0.1%の条件 ECビジネス成功者たちの志力』

摩周湖より弟子屈町を望む

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