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今こそ北海道ブランドが海外で認知される絶好のタイミング

“Hokkaido Showcase” インタビュー

小樽商科大学 ビジネス創造センター長
大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻

李 濟民 教授

<プロフィール>

1957年3月3日 韓国ソウル市生まれ
1981年 (韓国)延世大学商経学部経営学科卒業
1985年 小樽商科大学大学院商学研究科修士課程卒業
1988年 (韓国)延世大学大学院経営学科博士課程終了

研究分野は国際経営、経営戦略、ビジネスプランニング等
著書「MBAのためのビジネスプランニング」(同文館、共著)、「企業の自己革新」(法文社)、「国際経営論」(法文社、共著)など他多数。
米国ワシントン大学客員教授、室蘭大学非常勤講師、札幌医科大学非常勤講師、北海道薬科大学非常勤講師、北海学園大学非常勤講師なども務める。

韓国からの国費留学で北海道へ

小樽商科大学とのご縁は、1982年に韓国から国費留学生として入学した時に遡ります。じつは大学の名前もよく知らず、本当に行って大丈夫だろうかと不安に思いながら日本に渡ってきました。実際に来てみると、私は当時の同校でただ一人の大学院生だったということで、教授陣が入れ替わり立ち代わり、まさにマンツーマンで指導してくださったのです。その経験があればこそ、今の私があるといえます。

帰国後は韓国の大学で教鞭をとっていましたが、1989年に法律が改正され外国人の教員採用が可能になると、かつてお世話になった先生方が私を韓国から呼び寄せてくださいました。その後、国立大学とはいえ、存続のためには何か新しいことをしなければと模索していた末、2004年に現在私が所属するビジネススクールを開校することになったのです。

専攻はアントレプレナーシップ、つまり起業家を育てることです。生徒は20代〜70代と大変幅広い年齢層で構成されています。実際に社会人として働いているビジネスパーソンが大半ですが、例えば北海道の支社に転勤している間に、MBAの学位をとるために入学してくる方もいます。

また、同大学のビジネス創造センター長も務めており、そちらでは北海道の企業のマッチングや海外進出支援などを行っています。

北国からの贈り物・加藤社長との出会い

加藤社長と初めてお目にかかったのはシンガポールでした。良い意味で非常に衝撃的な出会いでしたね。北海道の経営者は、保守的な方が多いのですが、加藤さんは違いました。まず行動して、それからいろいろなことを調整していくタイプ。「これからは海外だ」と口では勇ましいことを言っても、なかなか行動を起こせない経営者が多い中、加藤さんは稀な存在です。

ただし、バイタリティーだけではうまくいかないのが海外進出なので、加藤さんのような勢いのある方々が走りすぎないよう、時にはストッパーとなるのも私の役目かなと思っています。

HOKKAIDO SHOWCASEは、作り手だけでなく幅広いジャンルの企業や個人があつまるユニークな団体です。多様な価値観があるからこそ、現場は非常に活気に溢れています。ここから一つでも多くの北海道ブランドが海外で花開いてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

HOKKAIDO SHOWCASEの現状と展望

このプロジェクトはまだスタートしたばかりですが、企業同士の活動により、あちこちで相乗効果が起こり始めているのを感じます。渦中にいる経営者の方々は、もしかするとまだ実感できないかもしれません。だからこそ、私たちのような存在が、第三者的な目線で外部からアドバイスすることも必要だと思っています。

昨年行われたシンガポールでの催事ではアンケート調査を実施し、統計分析を行いました。アンケートに加え、来場者との対話も行った結果、シンガポールの方々が北海道プロダクツに抱いているイメージは「大自然」「ナチュラル」というキーワードに集約されていることがわかりました。

サンプルとして配ったものの中ではラベンダーの化粧水への反応が良く、その形や香りは私たちが思っている以上に認知されていることもわかりました。現地で生の声に触れると、我々がステレオタイプで描くシンガポールの消費者像よりも、実際は一歩先を進んでいるようにも思います。まもなく次の催事がシンガポールで開催されますが、「ナチュラル」をテーマに試作品やサンプルを用意し、さらに北海道ブランドを認知して頂けるような計画を立てています。

北海道ブランドを活気あふれるアジアの市場へ

以前JETRO(日本貿易振興機構)にシンガポール市場の状況についてヒアリングしたところ、シンガポールの人々はジャパンブランドには興味があるけれど、地域ブランドには興味がないという話を聞きました。ただし、北海道に限っては例外で、唯一認知されている地域ブランドなのだそうです。同じような話は台湾でも聞かれます。

多くの外国人旅行者が北海道を訪れているのはその証明だと思います。とはいえ、来日して買ってもらえばいいという姿勢ではなく、こちらから出向いて売ることが大切です。

アベノミクス効果を実感しているのは一部の大企業だけで、中小企業や一般の消費者はほとんど景気の回復など感じていません。でも、海外に出てみると、とくにアジアは活気に満ちていて、「景気感」がまったく違うことに驚くでしょう。日本の景気が良くなってから海外に進出するのではなく、今こそ打って出るタイミングです。一歩先を読むのです。

企業の進出先としては、現在インドネシアやベトナムが注目されています。しかし、消費活動や市場の状況に関していえば、むしろ香港や台湾のほうが日本に近い。シンガポールの次は、そちらに目を向けていくべきではないでしょうか。

弊社代表・加藤との2ショット

弊社代表・加藤との2ショット

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