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「想いのつながり」でマーケティングする

“Hokkaido Showcase” インタビュー

株式会社 warmth 代表取締役CEO
オイシックス株式会社 CMO 兼 “旅人“

西井 敏恭 さん

<プロフィール>

1975年5月福井県生まれ。2003年まで、約二年半世界一周旅行に。

ブログのない時代に旅先でホームページを作成して世界各地のインターネットカフェでアップ。アフリカや南米でのリアルタイムの旅行記が口コミで評判になり、帰国後羊土社から「旅するつあーめん」を二冊出版。帰国後は小売サイトやモバイルEC事業の立ち上げなどを経て、2007年株式会社ドクターシーラボ入社。小売店のECからメーカー型ECサイトとして、従来の「自動販売機的ECサイト」から脱却したユーザーコミュニケーション型ECサイトを構築、運用。2014年7月、warmth設立。同年7月、オイシックスCMO(最高マーケティング責任者)に就任。デジタルマーケティングフォーラム「ad:tech(アドテック)」をはじめ、全国で講演多数。

ウェブの世界に入るきっかけとなった世界一周の旅

2000年代の始めにネットショッピングの世界に入って以来、ずっとEコマースを専門に仕事をしてきました。最近では、2013年まで株式会社ドクターシーラボのEC部門でデジタルマーケティングを担当した後、2014年7月に株式会社warmthのCEOとしていろいろな企業のマーケティング支援に携わっています。また、ネットショップの世界ではすでに認知されているオイシックス株式会社のCMOも兼任しながら、新しいことや面白いことを日々模索しています。

私にはもうひとつ、「旅人」という顔があります。じつはウェブの世界に入ったきっかけは2001年から2003年にかけて経験した世界一周の旅なのです。南米大陸を一年、アフリカ大陸を一年、というように世界を一周したのですが、ブログやソーシャルメディアがない時代に現地のネットカフェから各国の情報や旅の様子を発信していました。これが思いのほか好評で、世界中の方々に見て頂き、ウェブの面白さや可能性に引き込まれました。最近では南極やキリマンジャロなどにも行ってきました。

「美味しいものを食べましょう!」と口説かれて北海道へ

もともと加藤社長とは、ECの勉強会で知り合った勉強仲間です。あの楽天で蟹ブームを巻き起こした有名人のお名前は、もちろんずっと前から存じていました。お目にかかってみると、イメージ通り朗らかで、何でも楽しそうにする方でしたね。ある時、ロブスターや蟹を食べる会を開いたのですが、普段はお膳立てされて食べる専門の社長ばかりで、あまり動こうとする人がいなかった中で、加藤社長は率先してキッチンに立っていたんです。あれは印象的でしたね。

HOKKAIDO SHOWCASEにアドバイザー的な立場で関わるようになったのは、加藤社長から「北海道で美味しいものを食べましょう!2日だけ時間をください」と言われたのがきっかけでした。もちろん実際は、ゼロからECを立ち上げたり、すでにEC事業を手掛けている企業の事業拡大をサポートしたり、ECに携わってきた私の経験をこのプロジェクトに活かしてほしいという、真剣なお話でした。私としても、これまで培ってきた知識や経験をフィードバックできればと思っています。

北海道の「強み」は日本人がまだ気付いていない価値と魅力

以前、自転車で世界中を旅するルーマニア人に一番気に入った場所をたずねたところ、北海道だと言われたことがあります。聞けば、北海道を旅している最中に交通事故に遭い、そのときに周りの人たちがとても親切に助けてくれたのだそうです。そして北海道の自然の美しさと食事の美味しさを絶賛していました。

現在、アジアで北海道がどのくらい注目されているか、正確には知りませんが、日本人が気付いていない日本の価値や魅力に、海外の人たちが気付きいていることは確かです。私にとっても、その価値や魅力を伝えるお手伝いができることは本望です。しかも日本全体では漠然としてしまいかねないところ、「北海道」に絞ったプロジェクトは正解だと思います。

私は福井出身ですが、北海道といえば「札幌ラーメン」や「ジンギスカン」といった食べ物がまず頭に浮かびます。とはいえ、プロダクトベースで絞るとそれだけしか売れなくなる恐れもあるし、逆に北海道産ならなんでも良いということになれば魅力がぼやけてしまうかもしれません。そう考えると、まずはコンセプトで絞ることがポイントになるのではないでしょうか。今後、HOKKAIDO SHOWCASEへの参加企業が増えていく中でも、そのコンセプトを参加基準にすることは非常に重要です。

HOKKAIDO SHOWCASEは想いのつながり

HOKKAIDO SHOWCASEは、単なる地元企業の集合体ではありません。「北海道を元気にしたい」「北海道の素晴らしさを知ってもらいたい」という想いのつながりです。そんな想いこそ、広く周知すべきポイントだと僕は思うのです。北海道ブランドの化粧品や食品がナチュラルで安全であることに共感して頂き、「そんなに良いものなら私が広めたい」と思ってもらえるように啓蒙していくことも大切です。

ウェブを見たり、実際に商品を手に取ったりした人が海外の人に口コミしたくなるような、それでいて自分自身が誇れるような活動が理想です。今までは安かったり、多機能なものが売れていた時代でしたが、最近は共感型消費が多くなっています。安いだけ、機能だけでは差別化が難しくなってきています。これからの時代は、想いが根幹にある事業や企業が間違いなく伸びるし、そうでない企業や商品は価格競争に巻き込まれ、差別化が難しくなっていくのではないでしょうか。

僕自身も、そういったことを大切にして働くのが好きです。おいしい野菜を届けたいとか、肌に優しい商品でお客様に喜んでもらいたいとか、社内で本気でそう思って、その想いをちゃんと伝えて販売したい。マーケティング支援の話をいただくときも、そのような想いをもった会社を支援したいし、その会社が成功するのが株式会社warmthとしても一番うれしい瞬間です。

弊社代表・加藤と西井さん

弊社代表・加藤(左)と西井さん

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